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- I
の(1)五十音図ナ行第五段の仮名。 歯茎鼻音の有声子音と後舌の半狭母音とから成る音節。(2)平仮名「の」は「乃」の草体。 片仮名「ノ」は「乃」の初画。〔奈良時代までは, 上代特殊仮名遣いで甲乙二類の別があり, 発音上区別があったとされる〕IIの(格助)〔格助詞「を」が, 撥音「ん」の後に来て, 連声によって「の」の形をとったもの。 中世後期から近世へかけての語〕格助詞「を」に同じ。III
「一すぢながながととほりて剣~とぎたてたが如くにてあるそ/中華若木詩抄」
の【幅・布】(1)布製のものの幅(ハバ)を数える単位。 並幅(約36センチメートル)一枚を一幅(ヒトノ)とする。「四~の布団」「三~半」
(2)接ぎ合わせた布の一枚一枚。IV「主や誰きるひとなしに藤袴見れば~ごとにほころびにけり/詞花(秋)」
の【篦】(1)竹の一種, 矢竹の異名。 [和名抄](2)矢の, 竹の部分。 矢がら。→ 矢Vの【野】(1)自然のままに草や木の生えた広い平らな土地。 野原。「~を越え山を越え」「やはり~におけれんげ草」
(2)田畑。 のら。「~に出て働く」
(3)建築・器物などで, 内部に隠れて外から見えない部分。⇔ 化粧(4)名詞の上に付いて複合語をつくる。 (ア)動植物を表す語に付いて, それが自然に山野で生長したものであること, 野生のものであることを表す。「~ねずみ」「~いちご」「~うさぎ」(イ)人を表す語に付いて, 正式のものでないこと, 粗野であることの意を表す。 「~幇間(ダイコ)」「~出頭」
~暮(ク)れ山暮れ野で日を暮らし, 山で日を暮らして。 長い旅路をいう語。 野くれ里くれ。「道のべの露わけ衣ほさずして~幾夜ねぬらん/新撰六帖 4」
~となれ山となれ⇒ あとは野(ノ)となれ山となれ~に置・く〔近世の俳句「手に取るなやはり野に置け蓮華(レンゲ)草」から〕自然のままにしておく。~に伏(フ)し山に伏す旅で苦労を重ねるたとえ。
Japanese explanatory dictionaries. 2013.